1.階層化インタフェイスプロトコルの策定 一般に普及しているインタフェイスデバイスの機能を詳細に分析した。その結果、単位機能レベルでデバイスを特徴付けた場合、より抽象的な操作を実現するための単位機能の組み合わせ総数は論理的には膨大になるが、各デバイスの持つアフォーダンスを考慮することで、ユーザにとって使い易いインタフェイスは自ずと限定されることが明らかになった。また、単位機能の組み合わせによる抽象化に際しては、同時操作や連続操作などの時間的順序をプロトコル内に取り込む必要があることがわかった。 2.没入型可視化環境におけるインタラクション機構の検討と実装 可視化の対象は多岐にわたるため、予めあらゆる対象を想定してインタラクションを分析することは困難である。本研究では可視化の典型的な一例として、スカラ値を保持するボリュームデータの可視化と操作に対して分析を行い、その結果を一般的な場合に敷衍する方法論を採る。具体的には複雑な樹状の構造を持つ腎臓糸球体を可視化し、没入空間での視点移動および対象の部分領域選択のためのインタフェイスに焦点を置いて、対象となる部位を指定した後に関連するパラメータを変更するPoint-Adjust型インタフェイスを構築した。 3.没入型可視化環境におけるユーザインタフェイスの構築のための位置センシング機構を開発 階層化インタフェイスプロトコルの実装環境として奈良先端科学技術大学院大学に設置されている円筒型没入ディスプレイを対象とした。没入型可視化環境においては、ユーザ自身の位置や動きに基づいたインタフェイスの利用が適当であるため、位置計測システムが必須である。本年度は、赤外線LEDと魚眼レンズ、および赤外透過フィルタを装着したCCDカメラを利用した位置センシング機構について検討し、実装した。
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