1.可搬性の高い可視化環境の構築 昨年度行ったインタフェイスデバイスの機能分析に基づき、プロトコルの実装を行った。実装方法の検討に際してはオブジェクト指向分析を行うととで可搬性の高い階層的プロトコルが構築された。グラフィクス描画部分にはOpenGL Performerを用いることで、デスクトップから没入型ディスプレイまで、環境を選ばない可視化システムを実現した。また可視化に近年進歩の著しいGPUを使用する手法について検討を行った。 2.可視化環境における新たな情報提供チャネルとしてめ五感インタフェイスの構築 視覚を補助するために他の感覚を利用することを目指し、2種類の触覚ディスプレイと1種類の嗅覚ディスプレイを構築した。触覚ディスプレイは従来の装置では困難だった(1)衝撃力(2)柔らかさを再現することを目的とした。また嗅覚ディスプレイはユーザの行動を提示のトリガとすることで従来の装置よりも高い即応性を実現した。これらのデバイスと視覚との併用によりデータの言うなれば可覚化への先鞭となる環境を構築した。 3.没入型可視化環境における遠隔地間情報共有のためのマーカーレスユーザ動作認識 可視化を行う没入型環境は、ユーザに行動の自由度があるが、従来のインタフェイスデバイスはユーザの行動を制限するため、没入型環境の特長を充分に生かすことができなかった。本研究では、複数のカメラにより得られた画像をリアルタイム処理することで、マーカーレスでユーザの顔や手の位置を認識し、動き情報に基づいて仮想物体とインタラクションできるインタフェイスを開発した。没入環境では映像提示のために照明条件が一定ではないことから、色情報を利用せず、ステレオ視によって疎であるが信頼度の高い距離情報を得、それらを離散化した後に補間することで照明条件の変化にロバストな位置検出を実現した。
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