研究概要 |
本研究では,並列化困難とされている問題群に対して,実用的な並列アルゴリズムの提案を目指し研究に取り組んでいる.平成14年度に関しては,以下のような成果を得た. (1)並列化困難問題の並列性の抽出を行うシステムの作製と,問題の並列性を表す評価尺度の提案 問題の記述の単純性,正確性等を考慮し,かつ,並列性を正確に評価できることを主眼において問題の並列性の抽出を行うシステムの作成を行った.また,問題の並列性を表す評価尺度について,前述のシステムにより得られた結果を元に,並列性を示す評価尺度の考察を行った. (2)並列化困難問題に対する並列性の評価 最大流問題,安定結婚問題といった,基本的かつ重要な並列化困難問題に対して,(1)のシステムを適用し,問題の並列性を検証検証した.これらの問題の並列化手法はいくつか提案されているが,従来はコスト最適なアルゴリズムはほとんど提案されていなかった.今回の評価においては,問題のどの部分に逐次性が存在するのかを検証し,コスト最適な並列アルゴリズムの実現に対する基本方針を策定した. (3)基本的な並列化困難問題に対する並列アルゴリズムの提案 比較的単純な並列化困難問題である"忍耐ソート問題"と"最長昇順部分列問題"に対して,コスト最適な並列アルゴリズムの提案を行った.また,得られたアルゴリズムを実際の並列処理環境上により実装することにより,アルゴリズムの実用的な性能を検証した.
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