研究概要 |
本研究では,並列化困難とされている問題群に対して,実用的な並列アルゴリズムの提案を目指し研究に取り組んている.平成15年度に関しては,以下のような成果を得た. (1)並列化困難問題に適した並列アルゴリズムの提案 平成14年度に得られた結果を元に,並列化困難問題に対して理論的にコスト最適な並列アルゴリズムの提案を行った.用いる並列計算モデルとしては,平成14年度の研究結果により得られた評価尺度を基本とし,正確な並列性を評価できるモデルとして改良を行った.なお,現在,"忍耐ソート問題"と"最長昇順部分列問題"等の問題において,理論的に並列化できない部分が存在するか否かについて検討を行っている.並列化困難な部分が証明された場合は,その部分を除いた他のすべての部分についてコスト最適な並列化を行った並列アルゴリズムの提案を行う予定である. (2)並列化困難問題に対する並列アルゴリズムの実装と評価 (1)で提案した並列アルゴリズムを,PCを用いた計算機クラスタ環境に実装することにより,基本的な並列化手法の有効性を確認すると共にアルゴリズムの実用性を示した.これにより,いくつかの並列化困難な問題については,実用的な並列化が実現できることが示された.なお,理論的な計算モデル上のアルゴリズムを実際の並列計算環境に実装を行う時点で,実際の並列化のコスト(通信遅延,通信路帯域制限等)を正確に見積もった上で開発を行うことが必要であったが,平成14年度の研究で提案したモデルを用いることにより,正確な評価を実現することが可能となった.また,この実験において使用した計算機クラスタ環境については,OSとしてLinuxを用いたPC群とギガビットネットワークを使用したPCクラスタを本研究費により導入し,計算機クラスタの構築を行っている.
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