| 研究概要 |
大規模なネットワーク網や移動系に対する経路選択を考えた場合には,最適な経路を決定するための重要な情報である網構造が時間と共に変化し,動的環境の変化に対応可能なスケーラビティを重視した技術を確立することが必要である.本年度はこのような要求に応えるため,各ノードが動くことによりノード間の距離,網の形状が時々刻々と変化するネットワーク網上での移動ノード巡回問題およびネットワーク網の構造再設計問題についての検討を行った.
1.xy座標系において,すべての移動体がx座標に平行に等速直線移動し,それらの移動体を巡回者がx座標またはy座標方向に移動体と同じ速度で移動できるような場合を考え,さらに,一度に巡回できる移動体の数(容量)を制限した移動体に対する最大巡回問題の考察を行った.容量を2に制限した場合について,0(nlog n)時間で最大個数の移動体を巡回できるアルゴリズムを設計した.
2.容量を制限しない場合については,巡回者の可動方向に関する検討を行った.可動方向を4方向(xの正負,yの正負方向)とする場合には0(nlog n)時間の最大巡回アルゴリズムを設計可能であること,3方向(xの正,yの正負方向)に制限をした場合には,0(n^3)時間ですべての移動体を巡回することが可能であるか否かを判定できるアルゴリズムを設計可能であることを示した.この結果については,2003年度冬のLAシンポジウム/EATCS Japan Chapter Workshopにおいて発表した.
3.ネットワーク網の構造再設計問題に関しては,有向非巡回グラフ上でのクラスタリング問題として定式化し,そのNP困難性を示した.
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