本研究の目的は、多種多様なデバィスが次々と登場することに対応すべく、デバイスドライバの生成支援システムを実現し、今後の高度情報化社会の要求に迅速に対応できる基盤を与えることにある。今年度は以下のことを行なった。 1.実際に市場で使用されているデバイスとデバイスドライバのソースコードを調査・分析することにより、デバイスドライバそれぞれの特徴や必要な機能を抽出し、デバイスドライバを作成するための仕様の定義について検討した。途中経過ではあるが、具体的な例として、OSは、フリーでソースコードが配布されているLinuxを取り上げ、デバイスは、現在パソコンの様々な周辺機器の接続形式として利用され、今後さらに利用が増加すると予想されるUSB(Universal Serial Bus)を例にとり、記述言語は、カリフォルニア大学アーバイン校が中心となって開発し、現在日本でも普及推進活動が進められているシステム・レベル言語SpecCを利用して、LinuxのUSBデバイスドライバとファームウェアとを実際に協調設計し、情報処理学会OS研究会にて発表した。 2.デバイスドライバ作成用の新しい言語の開発やモデル化を考慮する上で、ソフトウェア工学の手法であるが、オブジェクト指向設計開発方法論におけるモデリング言語であるUML(Unified Modeling Language)の使用を試みた。UML上でのデバイスドライバ構築を考案する途中経過として、UMLの各ダイアグラムをコンピュータ上で簡便に記述する方法論を提案し、かつ、エディタをプログラミング言語Javaで試作し、その事例について、APSEC2002で発表した。また、第65回情報処理学会全国大会で発表する予定である。
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