本研究の目的は、多種多様なデバイスが次々と登場することに対応すべく、デバイスドライバの生成支援システムを実現し、今後の高度情報化社会の要求に迅速に対応できる基盤を与えることにある。今年度は以下のことを行なった。 実際に市場で使用されているデバイスとデバイスドライバのソースコードを調査・分析することにより、デバイスドライバそれぞれの特徴や必要な機能を抽出し、デバイスドライバを作成するための仕様の定義について、引き続き検討した。具体的な例として、OSは、フリーでソースコードが配布されているLinuxを取り上げ、デバイスは、現在パソコンの様々な周辺機器の接続形式として利用され、今後さらに利用が増加すると予想されるUSB(Universal Serial Bus)を例にとり、記述言語は、システム・レベル言語SpecCを利用して、LinuxのUSBデバイスドライバとファームウェアとを実際に協調設計し、実装した。その事例についてSCI2003で発表した。 今年度の予定では、昨年度までに記述したデバイスドライバの仕様に基づいて、デバイスドライバの開発手順について考察し、同時に、生成アルゴリズムを確立する予定であった。しかし、開発手順を考察する段階で、既に記述した仕様について変更や見直しを行なう必要が生じたため、アルゴリズムの確立までは至らなかった。これについては、年次研究計画を見直さざるを得ない状況ではあるが、引き続き今後も研究を進めていく予定である。
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