現在、様々なものの使いやすさであるユーザビリティが重要視されている。ソフトウェアのユーザビリティを向上させるには、ソフトウェアのプロトタイプを作成し、そのプロトタイプを評価し、その結果を反映させてプロトタイプを改良するという手順が有効である。そのため本研究では、GUIプロトタイプを作成する際の開発者の労力を軽減する目的で、ソフトウェアの開発過程で作成されるユースケース図とシナリオを利用して、GUIプロトタイプを自動生成し、また出来上がったGUIプログラムを、ユーザビリティの評価結果に応じて変更するための支援を行う研究を行った。 まず、入力されたユースケース図とシナリオから、GUIの制御構造の元となるグラフを生成し、そのグラフに対してGUIのウィンドウに関する情報を書き込むことで、GUIプロトタイプを生成する機構を開発した。この機構では、1つ1つのGUIの入力・表示項目に対して、それぞれが入力項目・選択項目・表示項目などの分類のうち、どの分類に当てはまるかをグラフに記述する。そして、その分類をもとに、本機構は、それぞれの項目に対して、具体的なウィジェットを自動的に割り当てて、GUIプログラムを生成する。 そして、この考え方を応用し、ユーザビリティの評価に基づいてGUIプログラムの変更を支援する機構を開発した。この機構では、入力や選択、表示などの役割を持つGUIの項目に対して、その項目に割り当てられているウィジェットの種類を変更する場合、GUI部分のプログラムを変更すると、ソフトウェアの処理部分のプログラムも自動的に変更される。これは、処理部分のプログラムについて、ウィジェットに関する部分のプログラムを、そのウィジェットの分類に応じて抽象化して記述することで、ソフトウェアの処理部分の自動変更を可能としている。 これらの成果は、論文としてまとめ、発表している。
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