研究概要 |
本研究では,コンピュータ上の大規模なネットワーク構造を持つ情報を効果的に視覚化し,ユーザに対して直感的に働きかける「柔らかい」インタラクション方式を新たに確立し,そのための効率的な実現技術を開発することを目的とする.その基盤として制約プログラミングを採用することで様々なシステムで容易に利用可能な技術とすることを目指し,それを可能にする形式的枠組みとして力学的アプローチに基づく新しい制約システムを構築する. 初年度である平成14年度においては,本研究の基盤となるべき柔らかい制約システムに関する基礎研究を行った.具体的には,最初に,柔らかい制約システムの性質に関する理論的考察を行った.その際の重点として,制約の集合を効率的に解消できるようにするために望ましい条件を,可能な限り一般的な観点から明らかにすることに努めた.これによって,従来の制約解消法に対して,理論的な観点から裏付けを与えることが可能になった. 次に,制約の集合を実際に解消するためのアルゴリズムに関する研究開発を行った.研究開発したアルゴリズムには,2つのものがある.第1のアルゴリズムでは,数千個の線形等式・不等式制約からなる集合を効率的に解消することを実現した.一方,第2のアルゴリズムでは,非線形制約が含まれる集合を処理できるようにすることで,対話型3次元グラフィクスのように高度な表現力を有するアプリケーションの構築を可能にした.これらのアルゴリズムは制約解消系ソフトウェアとして応用性の高い形で実装を行っており,平成15年度以降もさらなる改良を加えていく予定である.
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