研究概要 |
本研究では,コンピュータ上の大規模なネットワーク構造を持つ情報を効果的に視覚化し,ユーザに対して直感的に働きかける「柔らかい」インタラクション方式を新たに確立し,そのための効率的な実現技術を開発することを目的とする.その基盤として制約プログラミングを採用することで様々なシステムで容易に利用可能な技術とすることを目指し,それを可能にする形式的枠組みとして力学的アプローチに基づく新しい制約システムを構築する. 第2年度である平成15年度においては,制約処理アルゴリズムとネットワーク構造視覚化方式に関する研究を行った.具体的には,柔らかい制約システムを処理するアルゴリズムとして,非線形な幾何制約からなる制約階層の新しい解消法を開発した.本手法は,重み付き最小2乗法を基礎とし,階層QR分解という技法を新たに導入することで,高精度な解の計算を可能にしている. 次に,大規模なネットワーク構造を効果的に視覚化する方式として,高次元空間におけるグラフ配置を用いることで,グラフの対話的配置を実現する手法を開発した.本手法は,2次元グラフ配置を極めて高速に計算し,ユーザの操作に合わせて2次元グラフ配置を変形するという特徴を持つ.本手法は,内部的な高次元グラフ配置を固有ベクトル計算を用いて求めた後,制約プログラミングによって適切な2次元平面への射影を求めるという方法を新たに採用している. これらの研究成果は,複数の国際会議及び国内会議において発表された.
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