研究概要 |
本年度は標記研究課題に関して以下にあげる研究成果を得た. 本研究の目的は,歩行者ナビゲーションとWebサイトの有機的融合を実現するために,両者のコンテンツのベースとなるメタコンテンツともいうべき情報を想定し,それを画一的に記述するための,メタコンテンツ記述スキーマの創出であった.そのための第1段階として,歩行者ナビゲーションにおけるコンテンツとWebサイトにおけるコンテンツを有機的に結びつけるためのメタコンテンツ記述体系について検討した.実存するWebサイトのコンテンツに関して,様々な側面から検討を進め,歩行者ナビゲーション及びWebサイトにおいて共通に必要な情報,個々に必要な情報を体系立てて整理した.その上で,それらの情報を記述するためのコンテンツ記述言語NWCDLを提案した.ここではデータベースなどとの連携なども視野にいれて,近年注目を集めつつあるXML技術を利用している.また,歩行者ナビゲーションで頻繁に直面する『目的は存在するがそれを実現するための目的地が不明である』という状況に対応するために,このような暖昧な要求に対して,ナビゲーションの対象となる環境に関する情報,およびユーザの趣味・嗜好などに関する情報に基づいて,それらを総合的に満たす目的地を推論し,ユーザ・システム間のインタラクションによって目的地を決定する手法を提案した.ここでは,実存する地下街の情報を前述のNWCDLを用いてコンテンツ化した上で,このコンテンツをベースにシミュレーションシステムを構築し,その上でユーザによる暖昧な要求に対して具体的目的地を提示する実験を実施し,個人の嗜好を反映することで,ユーザの望みに沿った目的地が提示できることを示した.これはすなわち,対象に関するある程度の知識をシステム側が保持することで,ユーザによる抽象的な要求を理解するための道筋を示すものである.
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