研究概要 |
コンピュータシミュレーションによる誤差解析システムの構築と、その実用化に向けての基本システムを構築し、「複合現実感システムの精度限界導出理論およびシステム設計最適化理論」の確立に向けて、理論の妥当性検証,実用化のための基盤構築を行った。 まず、システム仕様が既知の場合におけるコンピュータシミュレーションによる誤差解析システムを構築した。まず、精度はRMS誤差で表し、システム内の誤差伝播は木構造で表せるものとする。システムを構築する各コンポーネントの精度仕様,およびコンポーネント間の結合をXML(eXtensible Markup Language)によって記述し、各コンポーネントで発生する誤差の結合,伝播をコンピュータでシミュレートし、ユーザが要求しているコンポーネントにおける精度を推定する。我々が応用の具体的ターゲットとしている手術ナビゲーションシステムへ本システムを適用し、実測値と比較,その有用性,適用限界を検証した。システム仕様の記述は、XMLファイルで記述する方法の他、誤差推定アプリケーションのGUIを用いて簡便に入力することも可能となっている。また、本システムを手術ナビゲーションに組込み、現在の3次元位置計測マーカの配置や、状態(マーカの一部が隠蔽されているなど)を考慮したシミュレーションを術中に行い、ナビゲーションシステムで提示している表示値(例えば、脊椎骨のアライメントなど具体的な臨床での計測値)に加えて、その信頼性を同時に提示する試みも行った。 また、コンピュータシミュレーションによるレジストレーション誤差解析システムを構築した。X線透視画像を用いた生体内組織の非切開位置推定システムの実装とその誤差推定理論の構築を行った。 本年度は、コンピュータシミュレーションによる誤差解析システムの構築とその応用を主に行った。次年度以降は、本年度の成果を基にした、理論的な誤差解析手法の確立および実装/検証を行う。
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