研究概要 |
研究目的は,理論解析および計算機シミュレーションによる手術ナビゲーションを主目的とした複合現実感システムの動作精度およびその計測データ精度の解析である.具体的には,手術ナビゲーションシステムにおける単体誤差を(1)点-点,点-直線,点-平面,直線-平面など対応探索アルゴリズム別に分類するための系統的分類手法と(2)単体誤差の混在および相互作用に対応する複合誤差解析手段の確立により,解析するものである.ここで,計算機シミュレーションによる手法は安定・汎用的な手法として位置付けられ,また,理論解析による手法は高速計算手法として位置付けられている.後者の計算機シミュレーションによる精度解析システムは,手術ナビゲーションシステムに実装,手術評価値の自動解析に使用している.具体的には,本研究成果の機能を組み込んだ手術ナビゲーションシステムを実際の手術で使用し,獲得したデータの信頼性計算や,データ信頼性の術中の条件対する状態変化解析を行い,手術ナビゲーションのプロトコルにフィードバックした.また,データの信頼性を情報として保持する手術情報データベースシステムを提案するなど,新たな展開を得ることができた.また,本システムはレーザガイダンスシステム(共同研究企業:日立製作所)の製品化の仕様検討にも利用された.前者の理論解析については,推定精度の観点より現時点で十分な達成点には至っておらず発表は行われていないが,基本方針の確認とその可能性は確認できており,術中に記録したデータとの比較,理論の構築も基礎部分については終了した.現時点における学術成果は,和論文2件,国際会議発表4件,国内会議発表5件である.
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