| 研究概要 |
複数人物が存在する環境での単一人物の実時間追跡に関する研究として,本年度は以下の項目について研究した.
・背景が複雑な環境に人物が存在する場面を撮影した画像に対して,領域併合法に基づく領域分割処理を行った.その結果,ある程度以上の大きさで人物が撮影されていれば,人物領域はいくつかの色領域に分割できることを確認した.
・人物の着ている服の色情報を利用して人物同定処理を行った.服装の上下関係も利用するため,人物領域を頭部,胴部,脚部に分割し,それぞれの領域に含まれる代表色をモデルとして登録した.背景差分法により抽出された任意の人物領域について,登録された色情報を利用して照合することで人物同定を行った.人物登録時に複数方向から撮影した画像を利用することで,同定時にも人物の向きによらずに判定できることを確認した.
・カメラ固定で撮影された動画像について,背景差分法と色情報に基づく人物同定処理を利用して,指定人物の追跡処理を実現した.静止物体による隠蔽時や移動人物との重なり時には線形予測により追跡を続けることで,複雑背景下で複数人物と次々にすれ違う場面で指定人物を追跡できることを確認した.
・アクティブカメラで撮影された動画像について,オプティカルフローやカメラパラメータを利用して移動人物領域を限定し,色情報に基づく人物同定処理を利用して指定人物を追跡した.指定人物の身体の一部のみ隠蔽される場合,単なる線形予測ではなく,隠蔽されていない領域の情報を利用して予測の補正をすることで,より安定した追跡を行った.
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