研究概要 |
平成15年度においては,システムを複数カメラ・複数プロジェクタに拡張し,比較的複雑な形状を持つスクリーン物体に対して,仮想的な光学パターンを投影する装置の誤計・開発を行った.平成14年度までの試作システムでは,カメラとプロジェクタがそれぞれ1台ずつであったため,光学パターンを投影できない面や,カメラで撮影できない面が存在した.一人のユーザを対象とすれば,ユーザの近くにカメラとプロジェクタを設置することで,大きな問題とはならないが,複数ユーザが存在する場合では,隠れ面の存在は無視できなくなる. そこで,複数カメラ・複数プロジェクタからなるシステムを作成した.実際の装置ではカメラとプロジェクタを2台ずつ用いているが,原理的にはより多くの台数にもそのまま拡張できるように設計されている.実世界中のある面が,どのカメラから撮影でき,どのプロジェクタから投影できるかという組み合わせ問題を,「撮影回像の分配」および「投影パターンの統合」と呼ぶ処理により解決できることを示した. さらに,複数カメラ・複数プロジェクタを用いたシステムの応用例として,現実世界の照明環境を記録し,それを忠実に再現できるSpaceRelighterと呼ぶシステムを作成した.記録した光学情報は,ディスプレイ上で2次元的に重畳されるのではなく,現実世界に直接投影することで3次元的に重畳されるため,ユーザは高い現実感を得ることができることを確認した.
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