研究概要 |
本年度は,学習したリフティングウェーブレット変換に基づく類似画像検索システムの構築を行った。まず,デジタルカメラにより入力された画像中から,未知の特定オブジェクトを抽出するシステムを,ウェーブレット変換の高周波成分を用いて構築した。また,抽出したオブジェクトの特徴を,リフティングウェーブレットに含まれる自由パラメータを使って学習し,その特徴ベクトルをデータベース化した。さらに,その特徴ベクトル間の類似度を定義し,それを類似画像検索システムに実装した。 次に,よりロバストな特徴ベクトルを得るため,ダイアディックウェーブレット変換に関する基礎研究を行った。従来のダウンサンプリング型のウェーブレット変換では,原信号の奇数シフトずれに対して,異なった分解成分を得るため,特定信号の検出などにおいて重大な問題となっている。今回,開発したスプライン関数に基づくダイアディックウェーブレット変換は,ダウンサンプリングをしないため,原信号の奇数シフトずれに対してロバストな分解成分を得ることができる。本研究では,Bスプライン関数に基づく中心に対称な高周波フィルタを設計し,医用画像の尖鋭化実験に適用した結果,良好な結果を得た。このことは,ダイアディックウェーブレット変換を利用することによって,本研究における類似画像検索システムの精度を向上させることが期待される。 また,本研究で開発されたリフティングウェーブレット変換を用いた学習理論を,FPGAを用いてハードウェア化した。本装置により,時系列信号における異常信号の発生時刻をリアルタイムに検出することができた。この装置を応用することにより,抽出されたオブジェクトの特徴を高速に照合することが可能となる。
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