研究概要 |
研究実績の概要 心疾患の診断では,心臓(特に心筋)の動きを診断材料とするため,心筋の動きや変位の正確な測定は重要な工学的問題である.したがって,MR画像に対して空間的に変調し,組織自体に輝度でインデックス付けた画像(タギング画像)を用いて,変位/動きの測定が行なわれる. その際の問題として,動き算出アルゴリズムに関する算出精度の高精度化と定量的な評価が挙げられる.この二つの問題は利用上特に重要な問題であり,昨年度提案した変位算出手法に基づき,適用可能な変調パターンに対する拡張と撮像に寄与する外部パラメータに対する評価を行ない以下の成果を収めた. 1)高精度な変位算出手法に適用可能な変調パターンの拡張 昨年度,当該研究者が提案したタギング画像に対する高精度変位算出手法に対し,変調パターンに対して拡張した解釈を適用し,より現在一般的に利用される変調パターンに対しても利用可能であることを実験的観点から提示した.昨年提案した高精度変位算出手法は,正弦波パターンの変調パターンに対して変位を求めることに限定されていた.本年度は,その他の関数系を利用した変調パターン,特に箱型関数のように,従来法では適用が困難な一般的な変調パターンに対しても,本手法が有効であることを実験により確認した. 2)実験による精度向上の外部パラメータに対する評価 変調パターンとその輝度は,撮像時の環境(撮像に携わる技士の技術や外部磁場の影響)に大きく依存する.それらによって,必ずしも所望の輝度で撮像されるとは限らず,コントラストが極めて低いタギング画像が撮像され,結果として,従来の変位/動き算出手法はそれらの要因が大きく寄与した算出結果を与えていた.本研究では,前述の拡張した提案手法のこれらのパラメータに対する寄与をシミュレーション実験および実画像実験から算出した.その結果,コントラストが低下したタギング画像に対して,本手法は従来法よりも安定な変位算出結果を与え,本手法の有効性を確認した.
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