誤差を含む実数値データからの推論を行う際に、実際にデータを説明する関数そのものを帰納推論機械が推論できることが最もよい場合である。しかし、帰納推論対象である関数が帰納推論できない場合もあり得る。そこで、本論文では、推論対象である帰納的実数値関数が帰納推論機械で推論できない場合、推論できないことを有限時間で示す帰納的実数値関数の帰納推論の成功基準として、論駁推論を導入した。また、推論対象である帰納的実数値関数が帰納推論機械で推論できない場合、帰納推論機械が出力する仮説の列が無限に発散し、帰納推論機械が出力する仮説の列が収束した場合にのみ、その仮説に信頼をおくことができる帰納的実数値関数の帰納推論の成功基準として、信頼推論を導入した。そして、それら2つの成功基準と、帰納的実数値関数の他の成功基準の比較を行った。特に、論駁推論可能な2つのクラスの和集合と、信頼推論可能な2つのクラスの和集合は、それぞれ、論駁推論可能、信頼推論可能であることを示した。 また、誤差を許した実数値データが与えられたときに、実際にデータを説明する関数そのものを推論するのではなく、データに基づき、関数の入力値に対する出力値を、ある程度の誤差範囲内で予測することができる予測可能性について研究を行った。そして、帰納的実数値関数の予測に関する推論基準と、帰納的実数値関数の既存の帰納推論基準である極限同定の成功基準、有限推論の成功基準、および枚挙推論の成功基準と比較を行い、相互関係を明らかにした。更に、枚挙可能な帰納的実数の集合から選択された係数を持つ初等関数全体の集合は、予測可能であることを示した。
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