本研究では、オントロジーに重点を置いた論理体系の設計を目指している。そのため、順序ソート論理やDescription Logicの研究をベースにして、オントロジー記述に適した論理的な表現と推論メカニズムを理論的かつ形式的に整備する。そうしたアプローチは、構文と意味論が厳密に与えられることでオントロジーの構築・運用に安全性をもたらしてくれる。14年度における主な研究成果は、(1)既存の言語体系に関する研究と(2)Description Logic(記述論理)の拡張とに分類され、その詳細は以下の通りである。 (1)既存の言語体系に関する研究 既存の順序ソート論理を分析しその論理をオントロジーに応用するために、否定的なソートを含んだソート階層の論理を定式化、およびソート述語を導入した論理プログラミングの完全性の証明を完成させた。この論理の拡張は、これまでの単純なソートの階層に否定と構造的な表現を新たに導入するとともに、ソート述語によって階層的な知識と言明的な知識との融合を可能にしている。 (2)Description Logic(記述論理)の拡張 論理プログラミング言語の特徴であるルールと事実による推論メカニズムを、記述論理に導入する方法を提案した。法律知識の推論では、法令文などの汎用的なルール表現と実際の事例を記述する表現とともに、法律の語彙を定義する法律オントロジーのような異なるタイプの知識を扱わなくてはならない。本研究では、そのような概念階層およびルールと事実の3つに分類される知識上での推論を可能にしている。
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