研究概要 |
本年度は,知識流通システムを実現するための統合環境を想定して研究開発を行った.知識流通は,1対1の場合と多対多の場合で,異なることが想定される.本年度は,1対1の場合における問題を対象として研究を進め,そのために「分散処理検証端末」を1台導入した. 本年度は,研究期間の初年度に行った研究を踏まえて,3つの研究を主に進めた.まず,1点目は,流通可能な知識形態のモデル化に関する研究である.ネットワーク環境において公開されている情報には,さまざまなものがある.その中で,情報を階層的に整理しているディレクトリ情報に着目し,カタログとして知識のモデル化を行った.そして,それを自動的に流通させるために,カタログ統合問題として流通可能な知識形態モデルの定式化を行った. 次の2点目は,ネットワーク環境に適応した学習アルゴリズムの研究である.本研究の目的を達成するためには,上記で挙げたモデルを勘案した,知識流通を実現させる機構を備えた学習手法が必要となる.それは二つの側面から構成されている.一つは,分類知識の流通を実現させるための分類間の関係性を学習する手法であり,もう一つは,時系列関係の知識流通を実現させるための時系列間の関係性を学習する手法である.本研究では,これらの提案を行った. 最後の3点目は,上記の研究で作られた学習アルゴリズムが実際にどのように使えるかについての検証である.検証のために,実際に使われているデータを用いて実験を行い,提案手法でどの程度の性能が得られるかを調べた.その結果,本研究で提案した関係性の学習手法によって,流通可能な知識が構築できることが確認された.この研究成果は,国内外の学術会議等で幅広く報告を行った.
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