研究概要 |
本研究では、任意の二次元の入力制約を有する記録および通信システムを仮定したとき、そのシステムにおける符号化効率の限界を導き、その限界を達成する符号の構成法の確立を目的としている。より具体的な内容を簡単な場合を用いて紹介する。符号語アルファベットが{0,1}として、二次元から成る系列の要素で連続する符号語シンボル"0"の並びがd_0個より少なくかつk_0個より多い部分列を縦方向にも横方向にも含まないn×mの長方形を(d_0,k_0)-制約を満たす二次元符号語と呼ぶ。この(d_0,k_0)-制約を満たす二次元符号語数をM(d_0,k_0)としたとき、lim_<n→∞,m→∞>(logM(d_0,k_0>)/(nm)を(d_0,k_0)-制約を満たす二次元符号化の容量と呼ぶ。一般に(d_0,k_0)-制約を満たす二次元符号化の容量はまだ完全には明らかにされていない。なお,一般の制約をみたす一次元符号の容量の導出は、制約を満たす条件から特徴付けされる遷移行列の最大固有値を求めることをParryが明らかにしている。一方,二次元符号の場合は、縦方向のシンボル数n横方向のシンボル数mが大きくなるにつれて、制約を満たす条件から特徴付けされる遷移行列の大きさが単調増加で大きくなる。これに対して、縦方向のシンボル数nと横方向のシンボル数mを定めたときの制約を満たす符号語数の数え上げと、制約を満たす条件から特徴付けされる遷移行列の大きさをSymbolic Methodを用いた母関数による数え上げの方法を試みた。
|