研究概要 |
本年度は前年度に引き続き理論的な検討を中心に研究計画を実行した. その成果については,藤垣・調ら(2004)において一部を公表している.そこでは,論文の引用や共著データを活用した「研究の質」の評価について先行研究の検討を行い,この種のデータを用いた評価の可能性と限界についての議論をまとめている.この成果は,生産関数を使った評価において,いわゆるアウトプット指標とされるべきデータの選択に活用される予定である. また,Shirabe and Tomizawa(2004)は,国際共著に関するモデルを提案したものであるが,モデル自体は組織境界を考慮した共著モデルとみなすことができるものであり,このモデルを活用することにより,共著をアウトプット指標としていわゆる研究におけるネットワーキングを評価することが可能になると期待される. 一方,15年度は,前年度と同じくデータ収集を行う計画を立てていたものの,書誌データの収集は進行しているものの,財務データの検討に関しては計画よりも遅れがみられる.書誌データについてはSCIデータベースやINSPECを用いたデータの抽出についての技法を検討するとともに具体的にデータ抽出の試行を行った.一方,財務データについては,各大学がどの程度情報開示を行っているか調査したものの,現状では開示度は低いため,16年度4月以降の法人化を待って再度データの収集を試みるか,比較的開示度の高い私学を対象とした分析に研究の方向性を変える必要があることが明らかになった.
|