近年、製品が製造されてから廃棄されるまでの過程である製品ライフサイクルについて、情報システムの整備が進められている。現在、回収過程の一元管理を実現する技術として、電波を用いた固体認識技術であるRadio Frequency IDentification (RF-IDタグ)が注目されている。本研究では、RF-IDタグを利用した製品ライフサイクルにおいて、知識情報処理を用いて効率的な製品の流れを実現することを研究の目的とする。 本研究では昨年度までに製品の静的な流れに着目し、リサイクル・リユースを考慮した製品の回収業務における低コスト・低環境負荷となる配送方法の実現を行っている。今年度は製品の動的な流れに着目し、サプライチェーンで表現される製品の製造過程において最適な生産方法を決定する方法を提案した。提案方法では階層構造をもつ多段階生産工程モデルについて、RF-IDタグから供給される情報をもとに製品を製造するメーカ内部およびそれをサポートするサブメーカ内での部品の流れを管理することができる。 提案方法の有効性を確認するためにシミュレーションによる評価システムを構築した。本システムでは、単位時間毎に行う製造部品の流れを表現し、様々な条件での製造のコスト・時間を算出して比較・検討を行うことができる。本システムによりRF-IDタグを利用した生産業務による効果を確認するための実験を行い、RF-IDタグ情報利用によるコスト抑制・時間短縮の効果を確認した。
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