研究概要 |
視覚障害者のコンピュータ利用において,スクリーンリーダ(画面情報読み上げソフトウェア)の合成音声に求められている重要な要望の1つである音声の速聴を研究対象とする。既存の音声合成ソフトウェアでも,一般の朗読音声に比べて2倍近い速度(話速)が実現されている。しかし,音声だけで情報を取得しなければならない視覚障害者はその話速に満足していない。そこで,(1)どの程度の話速まで人は聴取可能か,(2)どの程度の話速であればコンピュータのインタフェースとして視覚障害者は満足するのか,(3)速い話速をどのような音声合成技術で実現していくか,の各サブテーマについて,文献調査及び心理物理実験を通じて研究することを当初の目的とした。 ところが,速い話速の合成音声を求めるニーズについて既に報告書において報告していたため(2001年3月),これを受けてほぼ同じ内容の研究が他の研究所で開始された(2002年9月)。そこで,やや観点を変え,視覚障害者が合成音声を素早く理解するときに重要となる「漢字の詳細読み」に注目することとした。 この詳細読みの説明表現の一部に理解しづらいものがあるという問題が従来より提起されてきた。そこで,この問題解決の第1段階として,現在の詳細読みの調査を行った。その結果,詳細読み説明表現の構成や語彙の問題を詳細に検討することができた。 次に,盲児の利用を想定した教育漢字の説明表現として,教育基本語彙からの語彙の抽出を行った。 さらに,一般的にどのような説明だとわかりやすいかを知るための基礎データとして,漢字を音声で説明させる実験を実施した。
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