本年度は、典型的な非凸型の問題である、線形不等式系によって与えられた多面体を含む最小体積を持つ楕円体を求める問題に対するアルゴリズムの提案、実装・実験、改良を行い、論文としてまとめるとともに、国際数理計画シンポジウム(ISMP2003、於:デンマーク)にて研究成果の報告を行った。 具体的には、本論文で提案したアルゴリズムは「楕円体を決定する頂点数は次元数の二次式で押さえられる」、「(多面体の)頂点集合の部分集合を含む最小体積を持つ楕円体を求める問題は、頂点数の多い、大規模な問題でも効率的に解くことができる」という事実に基づき、各反復で適当な頂点の集合を含む楕円を求めた後、超直方体の分割に基づく分枝限定法によって、その大域的最適性を保証(ないしは解を改善)するというものである。さらに、アルゴリズムの振る舞いを調べるために計算機上に実装し、単純な端点列挙に基づくアルゴリズムとの比較など、計算機実験を行った。その結果、7次元程度までであれば制約が200-300本程度の問題でもパーソナル・コンピュータ上で、実用的な時間で解けることが確かめられた。本アルゴリズムの性能は多面体の端点数に大きく依存しているが、多面体パラメータの設定法によっては端点数の制御が難しい場合がある。そのような細かな設定に対する実験、考察は今後の課題である。なお、本報告については現在投稿中である。 また、同様な超直方体の分割に基づく分枝限定法ルーチンを最小極大流問題に対して適用する枠組みを論文Gotoh-Thoai-Yamamotoに報告した。
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