本研究の目的は、JRと大手私鉄の経営効率を多基準により比較・評価することである。具体的には、科学研究費の交付期間内に、JR誕生後から現在までの約十数年間を対象に、JRが大手私鉄並みの経営効率に改善されたか否かを、多基準評価手法である包絡分析法(DEA : Data Envelopment Analysis)により時系列的に評価する予定である。 本年度の研究実施計画に従い、来年度の本格的な分析のために、本年度はその準備を中心とした以下の研究を行った。 1.データの収集と整理(国内、国外の文献調査を含む) 2.分析のためのコンピュータシステムのソフトとハードの整備 3.分析のためのパイロットモデルの試行 4.本分析に対応した新しいDEAモデルの開発 5.国内の学会にて新しいDEAモデルの成果発表 まず、JRと大手私鉄の膨大なデータを収集し、整理を行った。このデータ整理のために、コンピュータシステムのソフトとハードの整備を行った。また、データ収集の際に、鉄道産業の関係者などの専門家から話しを得、さらに米国ニューメキシコ工科大学にて近年の外国における鉄道産業の事例研究などの文献調査を行った。 次に、経営効率を評価するためのパイロットモデルを試行した結果、既存のDEAモデルでは適合しないことが判明した。そこで、適合する新しいDEAモデルを一つ開発した。この新しく開発された方法を論文誌に投稿し、その成果を発表した。また、本研究を行う上で関係する基礎的研究の成果も論文誌や国内の学会にて発表した。 最後に、来年度、本格的な分析をするために、コンピュータシステムのソフトとハードの整備を行った。
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