14年度の研究実績を以下にまとめる。(1)全世界レベルでの食料需要動向の把握:イタリアのローマに本部がある世界食料農業機関(FAO)の研究チーム(Dr. Koji Yanagishima)は、食料需要給の所得弾性値および価格弾性値に関する詳細な分析を行っている。FAOの協力を得て、全世界における品目別の食料需要量に関する時系列のデータセットを構築した。それらの時系列データセットと、土地利用変化、人口動態、都市化の度合に関する分析をおこなった。(2)FAOにより構築された国際交易モデルのパラメータを用いて、表計算上に、全世界を32地域に分割したモデルを構築した。このモデルは、全世界32地域の総需要量と総供給量を一致させる均衡解を求める構造になっている。平成15年度は、32地域の内、特に中国に関してのモデルの精緻化を行う予定である。(3)貿易データセットの入手:アジア経済研究所の協力を得て、中国における食料輸入動向に関する紙ベースでのデータセットの構築を行った。平成15年度は、これら紙媒体のデータセットの電子化を行う予定である。(4)中国における経済発展の空間的把握:米国軍事気象衛星により得られている夜の衛星画像データを、米国大気海洋局の研究チーム(Dr.Chris Eldvidge)の協力を得て構築し、統計データを空間的に配置することにより、中国における空間的な経済発展の動向を把握した。平成15年度は、時間的、空間的な分解能を向上させる予定である。
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