研究概要 |
現実の製品とその製造工程は,最終的に保証するべき品質特性に影響を与える要因を数多く持っており,かつそれらの間に種々の因果関係が見られる複雑なシステムである.そこで,まず,そうした多くの要因と品質特性の間の関係を捉えるために,「変動因系統図」と呼ぶネットワークを展開した.そして,品質特性のばらつきを必要なレベルにまで低減するためにどの要因を検査の対象として選択すればよいかを,この変動因系統図に基づいて明らかにする方法を開発した.このとき,品質特性のばらつき低減のための手段として,単に検査による要因管理だけでなく,ロバスト性向上も併せて考慮した.変動因系統図には,品質特性のばらつきを低減するためにロバスト性向上を実施することのできるスコープや検査の対象となり得る要因が多数含まれている.そこで,提案法では,まず最初に,対象システムの変動因系統図の中からロバスト性向上を実施するのに最も適したスコープを同定し,次に,そのスコープで実験に基づくロバスト性向上を実際に実施するべきかどうかを判断する.そして,これら二つのステップを繰り返して,それ以上ロバスト性向上を実施する必要がないと判断された後,検査の対象として選択すべき要因の集合を同定する.このとき,品質特性のばらつきを,必要なレベルにまで,最も経済的に低減することのできる検査対象の集合を求めるものである.また,対象システムに,ロバスト性向上を適用すべきスコープが複数存在し,かつそれらの間に並列の関係があった場合を想定し,その場合に適用可能な新たなロバスト設計法を併せて展開した.
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