並列計算機とGISによる都市気候解析システムの構築とヒートアイランド制御策の評価

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14780353
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 泉 岳樹 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (10336513)
• キーワード: ヒートアイランド / GIS / 都市気候

研究概要

本年度は、昨年度構築した衛星画像や建物ベクタデータの解析システムを用いて、東京都を対象に潜在的に屋上緑化が可能な面積の詳細な推定を行った。また、非静力学のメソスケールモデル(RAMS)を導入し、日本の詳細な地表面境界条件(50mDEM、国土数値情報1/10メッシュ土地利用)を利用できるようにソースコードの変更を行ない、昨年度作成した並列計算機を用いて試行的な計算を行った。これまでメソスケールモデルで取り扱うことが困難であった建築物の影響を考慮するために電力中央研究所で開発された2次元の建築キャノピーモデルを導入し、メソモデル(RAMS)へ組み込んで動作のチェックを行っている。
地表面の状態を土地利用データに基づき推定するのではなく、衛星リモートセンシングや高解像度空中写真より直接推定するための基礎的な研究を幅広く行った。具体的には、LANDSATの熱赤外データを用いた地表面熱収支の推定、デジタル空中写真を用いた屋上緑化可能面積の推定、植生活性度と関係のある葉面積指数(LAI)の全天写真からの推定、LANDSATの可視、近赤外データを用いた積雪、非積雪地域の判別、などである。

研究成果

• [文献書誌] 北村彩子, 泉 岳樹, 松山 洋: "筑波大学陸域環境研究センターにおける地表面熱収支の日変化とリモートセンシングへの応用"筑波大学陸域環境研究センター報告. 4. 31-40 (2003)
• [文献書誌] 島村雄一, 泉 岳樹, 中山大地, 松山 洋: "積雪指標を用いた積雪水当量・融雪量の推定-黒部湖集水域を事例に-"水文・水資源学会誌. 16. 331-348 (2003)
• [文献書誌] 松山 洋, 藤原 靖, 島村雄一, 泉 岳樹, 中山大地: "全天写真から得られる葉面積指数とプラント・キャノピー・アナライザーによる実測値との比較"地学雑誌. 112. 411-415 (2003)
• [文献書誌] 岡 真一, 泉 岳樹, 松山 洋: "東京における屋上緑化可能面積の推計"日本気象学会2003年度春季大会講演予稿集. 83. 324 (2003)
• [文献書誌] 北村彩子, 泉 岳樹, 松山 洋: "熱収支の日変化を考慮した、衛星データによる熱環境の把握に関する研究"日本気象学会2003年度春季大会講演予稿集. 83. 433 (2003)
• [文献書誌] Takehiko Mikami, Haruo Ando, Wataru Morishima, Takeki Izumi, Tsutomu Shioda: "A NEW URBAN HEAT ISLAND MONITORING SYSTEM IN TOKYO"Proceedings of Fifth International Conference on Urban Climate. 38 (2003)