研究概要 |
本年度は、平成15年1月15日から2月14日までの戦略的コミュニケーションを導入している世界銀行などの諸組織による社会開発プロジェクトの調査内容の分析と考察が中心となった。 同手法を用いることで開発実践者が不特定多数の受益者に対し、より効果的に情報を供給し受益者自身のイニシアティブにより生活習慣を改善させることが可能であることが分かった。実施者が流す情報に対する受益者の反応をあらかじめ想定し、マス・メディアを駆使して受益者の関心をより多く集めるという情報活動といえよう。さらに、多くのプロジェクト事例分析を通じて明らかなのは、同手法が情報伝達法として効果的であるばかりか、社会開発現場のような多文化的状況下で、参加者の組織的学習を促進することである。 今後は双方向的なコミュニケーションを含めた、多文化的状況下の人々による組織的学習の基層にある認知的道具体と、それらが構築する認知的機能システムのメカニズムを分析する。多文化的状況下の組織学習を促す機能システム分析に関してはすでに平成16年度萌芽研究計画案として文部科学省に提出した。なお、本研究による成果の一部は以下に挙げる発表及び著作物の内容に反映されているが、本研究の総括的成果報告は、本年のできる限り早い段階で公開する予定である。 1.『村落開発における組織学習:日本ODAによるカレゴロ緑の推進協力プロジェクト』平成15年度東京大学大学院総合文化研究科提出博士学位請求論文(平成16年1月23日提出) 2.Learning Organization in Rural Development : Japan ODA's Green Promotion and Cooperation Project in Karey-Gorou, Niger.米国応用人類学会ペーパープレゼンテーション(平成16年4月3日米国テキサス州ダラスにて発表予定) 3.「開発の為の新たなるプログラム」有斐閣教科書入稿予定原稿(平成16年3月31日脱稿予定)
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