研究概要 |
15年度では,発光強度分布の相対感度の較正を標準光源を用いて行い,各視線間での発光強度を比較できるようになった.さらに,CHS装置で観測されている遷移現象や揺動の観測を行った. NBI加熱プラズマ中でその加熱エネルギーが閾値を超えるとHa信号の急速な減少を伴う遷移現象がCHS装置において観測されている.このときBESで計測した発光強度分布を観測すると,プラズマ中心部で発光強度が減少し,周辺部においては発光強度が増加していた.これはプラズマ中心部での密度勾配の減少と周辺部における密度の増加を示している.さらに8本の視線を周辺部に集め(r/a=0.66〜1.09の範囲で)空間的に詳細な観測を行ったところ,周辺部におけるある視線を境に,内側での密度上昇の割合が外側より大きくなっていることが分かった.これは周辺部での密度の急峻化を明確に示しており,周辺部において粒子輸送障壁が形成されたことを支持する結果である.また同時に,発光強度揺動の観測も行っている.発光強度揺動の周波数スペクトルを解析したところ,特に周辺部での密度障壁の形成時に数kHzのコヒーレントな揺動が観測されている.この揺動の特性として揺動強度の分布を計測することは重要であり,プラズマ径全体にわたり空間的に詳細な観測が必要である.本年度の予算において観測視線を増やすために干渉フィルタ系を増加し.計測を進めている. このように,BES装置を用いて遷移現象に伴う粒子輸送障壁の観測に成功した.また低周波揺動の周波数スペクトルの計測に成功した.さらにビーム強度の減衰の効果を取り入れる検討を進めている.
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