研究課題
径電場界面の形成による乱流輸送抑制の可能性をさぐるために、LHD装置における電子ルート実現領域あるいは3根領域(両極性条件から径電場の解が3根存在する領域)がプラズマの小半径ρ方向にどのように変化するかを調べた。イオンルートから電子ルート領域(あるいは3根領域)への温度境界線が密度の0.4乗に比例するという知見に加え、磁場の非軸対称性が大きい(中心部より周辺部)ほど、3根領域あるいは電子ルート領域に入りやすいことが明らかとなった。これは、磁場配位の違いによる非軸対称性の大小によっても電子ルート実現のパラメータ領域が変わりうることを予測するものである。平成14年度のLHD実験において、磁気軸位置の相違による電子ルート実現への密度領域の相違が実験的にも観測されており、解析を進めている。また、ドリフト反転を通した無衝突捕捉粒子不安定性の抑制による乱流輸送抑制を目指して、概念設計が進んでいる準対称配位におけるドリフト反転の可能性についても取り組んだ。プリンストン大学(PPPL)で設計活動が行われている準軸対称配位NCSXにおける候補配位における検討も行った。この配位では、径方向に単調増加する回転変換分布となっており、磁気シアに基づくトカマク的なドリフト反転が広い範囲で実現している。準軸対称配位における非軸対称磁場成分に起因したドリフト反転についても、その微視的不安定性抑制への寄与を調べる作業に、PPPLのG.Rewoldt氏との協力によって着手した。これまでのところ、このドリフト反転は深く捕捉された粒子に限られているため、捕捉粒子不安定性などを大幅に抑制するという結果にはなっていないが、さらに系統的な検討を行っていきたいと考えている。さらに、準ポロイダル対称配位では、浅く捕捉された粒子に対しても磁気井戸に起因したドリフト反転が可能であるので、こちらについても検討を行っていきたい。
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