研究概要 |
1.JT-60Uの中性ビーム入射加熱プラズマにおいて、数msの間に周波数が上下に10-20%程度変化するアルヴェン固有モード周波数帯の不安定性が観測されており、速い周波数掃引モード(Fast Frequency Sweeping Mode)と呼ばれている。実験データ(E36379,t=4s>に基づき、粒子-MHDハイブリッドシミュレーションを実行した。高速イオン初期圧力分布に依存して、異なった位置と周波数にトロイダルモード数n=1の不安定モードが現れた。これらの不安定モードがトロイダル・アルヴェン固有モードであるならば、シア・アルヴェン波連続スペクトルギャップの幅が狭まった位置(r/a^-0.8)に存在するはずであるが、全く異なる位置に存在する。さらに、位置と周波数が高速イオン初期圧力分布に依存することから、これらの不安定モードは新しいタイプの高エネルギー粒子モード(EPM)であると考えられる。 2.高速イオンの初期分布として、ビーム入射と衝突のみで決定される古典的分布を与えた場合と、その分布形を保ったまま圧力を2/5に小さくした場合について、非線形発展を追跡した。前者の場合は周波数が単調に低下したのに対して、後者では実験における速い周波数掃引モードと同様の周波数掃引が起こった。前者においては、プラズマ中心における高速イオン圧力が40%も減少するほどの大きな高速イオン分布変化が起こり、EPMの構造も大きく変化する。一方で、後者の場合には、高速イオン分布とEPM構造の変化はともに小さい。両者の違いを区別する高速イオン圧力の臨界値とそれを決定する物理機構を解明することが今後の重要な研究課題である。
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