研究概要 |
本年度では,化学反応を伴う熱交換器内の熱流動解析を行い、液膜厚さ、流速、圧力、温度等のパラメータに伴う溶解・拡散といった輸送過程の総括反応過程に対する影響を調べ、現象を支配する律速過程を解明することを目的とした。 ぎ酸メチルを合成する反応を取り上げた場合,反応蒸留過程としては、触媒の担持された反応面の上を薄いメタノール液膜とCOガスが流れながら溶解・拡散し、触媒面上で反応し、生成したぎ酸メチルが反応熱により蒸発していく。蒸気が凝縮され熱利用される。このようなプロセスをモデル化し、その過程を数値シミュレーションし、今まで測定した溶解度、拡散係数、反応速度等のデータを用い、厳密な解析結果を得て、液膜厚さ,流速等の種々パラメータの影響を明らかにした。 その結果,反応定数が高い場合,液膜厚さの増加とともに拡散律速により反応速度が低下していき,また,反応定数が低い場合,反応律速になり,液膜の厚さの影響がほとんど見られない。一方,種々ガス流速における流れ方向の反応速度分布を解析した結果,ガス速度が遅くなるにつれて反応速度が低減していくことが解った。
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