高強度フェムト秒レーザーによるポジトロンエミッターの生成機構を明らかにするために、予備実験として、大阪大学レーザー核融合研究センターのチタンサファイアレーザーT6システム(130フェムト秒、繰り返し10Hz、5TW)を利用して、高エネルギーイオン発生実験をおこなった。 はじめに、高いレーザー集光強度を得るために、軸外し放物面鏡と高性能CCDカメラを用いたレーザー集光モニターを設置して、チタン金属試料の表面上にレーザー光を集光し、10μm以下の集光スポット径を得た。 金属箔での高強度フェムト秒レーザーの強光電場作用によって、高エネルギーイオンを発生させ、厚さの異なる金属箔と固体飛跡検出器CR39を用いて高エネルギーイオンのエネルギースペクトルを調べた。チタン金属箔にレーザー強度10^<18>W/cm^2で照射した場合、(金属表面に付着していると考える)水素については、最大エネルギー300keV程度までの高エネルギーイオンを観測することが出来た。今後、さらに高強度のレーザーを用いることによって、高エネルギーのイオン発生が期待できて、荷電粒子の核反応が可能となりポジトロンエミッター生成が見込まれる。 また、レーザー繰り返し実験を行うために、高速パルスガスノズルをレーザー実験チェンバーに設置した。本装置を用いることによって、レーザーとパルスノズルが同期して動作するため、最大で10Hzの繰り返し実験が可能となった。また、ガス噴出領域の状態を調べるために、光干渉計とレーザー散乱光測定システムを整備した。
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