研究概要 |
本研究で開発を行った航空機搭載可能な大気中ラドン222(^<222>Rn)濃度の測定機は、上空で^<222>Rnと放射平衡にあると考えられる短寿命の^<222>Rn子孫核種(^<218>Po、^<214>Po)を機外から採気管を介して吸引してフィルタ上に捕集し、放出されるアルファ線の計数から^<222>Rn濃度を算出する。地上から上空5000mまでの使用条件下で、短寿命^<222>Rn子孫核種の採気管内壁への付着による損失を抑制するために、管内が層流となるよう採気管の形状を長さ1m、内径45.3mm、空気の吸引速度を50L min^<-1>とした。このとき,理論計算から予測される短寿命^<222>Rn子孫核種のフィルタ上への捕集効率は,エアロゾルに付着した成分については管内が層流,乱流のいずれでもほぼ100%であった。一方、非付着成分の捕集効率は層流条件下で80%、乱流条件下では20%程度であった。地上に比べ上空5000mでは非付着成分の割合が高いため、両成分を合計した捕集効率は地上よりも低下し、層流条件下で約80%、乱流条件下で約50%と予測された。 容積50m^3のチェンバー(独立行政法人放射線医学総合研究所)に高^<222>Rn濃度の空気を充填し,エアロゾル付着・非付着成分混在条件を再現して,捕集効率を実測した。子孫核種^<218>Poの捕集効率は層流条件下の理論予測をやや下回り、60〜80%であった。上空2000m以上を想定した^<222>Rn濃度0.1Bq m^<-3>の空気を流量50L min^<-1>で5min捕集する条件では、アルファ線計数の統計誤差と捕集効率の不確かさによる平衡仮定^<222>Rn濃度の精度は相対標準偏差で18%であった。従来法、すなわち空気採取後に地上で^<222>Rn濃度を測定する方法での精度30%に対して、本研究によるラドン濃度測定機を使用することで,より高い精度でしかもより短時間に上空^<222>Rn濃度分布を観測することができることが示された。
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