従来の熱交換システムに常に凝縮器として働くようにスーパーコンデンサ(超凝縮器)を組み込むことにより、冷媒の種類によらず、効率が200%〜30%増加してエネルギー消費が減り、また潤滑油を良く溶かして圧縮機の潤滑を維持するために、新代替フロンが単体で使用できるなどの優れた特性がある。しかし、この特性がどのような原理やメカニズムによって生じるのかは全く明らかではなく、本研究では超凝縮器を組み込んだ熱交換システムのサイクル論的原理、及び潤滑油との相溶性の物理化学的機構を解明することを目的とした。まず、超凝縮器を組み込んだ熱交換システムサイクルの運転特性について評価を行った。室外機に超凝縮器を取り付けた試験用空調機(3.7kW)に代替フロン(HCFC-22)を充填した場合の成績係数は、超凝縮器未装着と比較して約5%の向上が見られ、さらに、代替フロンの代わりに新代替フロン(HFC-134a)を充填し、超凝縮器を取り付けた場合の成績係数は、約40%の向上が見られ、単体ガスで長時間運転可能であった。その上、室外気温度40℃の環境下で高圧カット現象が起こらず、HCFC-22と比較して、各測定点で低い圧力と少ない消費電力で運転できた。また、上記研究の実験データ(温度・圧力)を基に、スーパーコンデンサ内で生じる圧力変化および温度変化に伴う潤滑油中の冷媒ガスの状態変化(相溶あるいは分離)を検討した。スーパーコンデンサ出入口における混合状態について、超凝縮器入の冷媒ガスは凝縮せず、超凝縮器出の冷媒ガスは完全凝縮し、潤滑油と相溶している状態が観察された。
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