研究概要 |
海綿Theonella swinhoei由来の強力な細胞毒性化合物onnamides類の活性発現メカニズムを解明するために、その標的タンパク質(onnamide Aと相互作用するタンパク質)の探索ならびに同定を行った。 Onnamide Aの直鎖部分のカルボン酸にaminoalkyl agarose gel (Affi-Gel 102,Bio-Rad)を結合させたアフィニティー担体を作成し、探索源としてウシの脳の水抽出物を用い、バッチ法での標的タンパク質の抽出を試みた。その結果、CBB染色でSDS-PAGE上に標的タンパク質由来と思われる十数個のバンドを検出した。それぞれのバンドを切り出し、トリプシン消化後、MALDI-TOF MSで分析した。得られたピークから、ProfoundやMS-Fitなどの一次構造データベース検索(ペプチドマスフィンガープリント法)を行い、8個の標的タンパク質を推定した。これらについては、現在、BIACORE等を用いて、相互作用情報の解析を行っている。 今後、探索源をHeLa細胞(ヒト由来のガン細胞)として、標的タンパク質の探索を進めていく予定であり、HeLa細胞の培養やアフィニティーカラムの準備もおこなっている。また、最近の調査から、onnamide Aはリボソームに結合することが示唆されていることから、新たな探索源(細胞のリボソーム画分)や、photoaffinity法による標的タンパク質の検出も検討している。
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