研究概要 |
平成14年度 1.転写因子ATF-2の転写活性化ドメインとDNA結合ドメインとの複合体の立体構造と構造変化 転写の不活性化状態では、ATF-2は分子内相互作用(ドメイン-ドメイン間)によりそれぞれのドメインが持つ機能をマスクしている。この複合体の構造を決定するために、それぞれの大腸菌大量発現系による目的蛋白質を発現させ、精製を行った。その立体構造解析には500Mhz,600Mhzを使用した。NMRでは転写活性化ドメインの構造変化とDNA結合ドメインの構造変化をそれぞれ解析した。その結果、分子量増大に伴うNMRシグナルの複維さとDNA結合ドメイン側の溶解度の低さからシグナルの解析は不可能であった。そのため現在、DNA結合ドメインの認識部位を特定し直し、安定な複合体構造を形成する条件を検討している。 2.ATF-2のDNA結合ドメインとE1A-CR3領域との相互作用 アデノウイルスの初期遺伝子産物であるE1AはCR3領域を介してATF-2のDNA結合ドメインと直接相互作用する。この相互作用をNMR法によって解析するためにCR3、CR23、CR123の相互作用部位を含む3つの領域の発現系を構築した。さらに溶解度の低いそれぞれの領域とATF-2のDNA結合ドメインとの共発現系の作製を行った。またチオレドキシンや分子シャペロンとの共発現系の作製も行い、不溶性から可溶性への回収を行った。現在NMRによる解析に必要な量(10mg以上)を調製するための条件を検討している。
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