多機能サイトカインGBPに対して結合能を有する調節蛋白質GBPBPの大量発現構築に、大腸菌を利用した発現系を用いて成功したのでこれを利用し、GBPBPと、GBP間の相互作用について表面プラズモン共鳴センサーを用いて解析を進めた。また、このGBPBPをN末端、C末端ドメインに分割した発現系を構築し、その結合能の解析を行なった。その結果、GBPとGBPBPの相互作用は、各ドメインのみでは観察されず、両ドメインが必要なこと、また生体内の環境と近い生理食塩水中では、GBPBPの立体構造がかなりの速さで失われ結合能も失っていくことが明らかになった。 また、GBP分子のN末端の分子の自由度を高めている残基についての重要性を検討するために、これらの領域に対する変異を導入した変異体の作成を重点的に行い、機能と立体構造相関に関する知見を蓄積した。自由度を高めている要因と考えられるGly残基を自由度の低い残基に置換した変異体をプローブとすることで、受容体のリガンド結合部位に関する知見を得た。また、この知見を基にアンタゴニストとして働くペプチドの作成に成功した。さらに、GBPの立体構造形成に重要と考えられるTyr11をAlaに置換した変異体では、溶液中での立体構造が失われるにもかかわらず、活性を保持するという極めて興味深い現象を発見した。さらに詳細な解析から、受容体結合時に本来の分子の立体構造が誘導形成され、活性を発現しているという可能性を示唆する研究結果を得た。
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