研究概要 |
3量体G蛋白質はGαとGβγで構成され、G蛋白質共役型受容体(GPCR)から標的蛋白質へ多様なシグナル伝達を行う。Gαの活性化(GTP結合型)と不活性化(GDP結合型)の切り替えの機構には幾つかの制御蛋白質が関与する。従来、Gαに対してGPCRはGEF(GDP/GTP exchange factor)、RGSファミリーはGAP(GTPase activating protein)、GβγはGDI(GDP dissociation inhibitor)として働く。最近、GDP結合型Gαに特異的に結合するGolocoモチーフを有する一群の蛋白質がGαからGDPの解離を抑制するとともに、Gαを細胞質に留まらせるというGDIとして機能することが知られるようになった。 LGN(677アミノ酸)はC末端側に4つのGoLocoモチーフをもつGiα結合蛋白質であり、細胞分裂時における細胞の非対称性の維持や染色体分離に関与する。本研究では、GDPが結合した。GiαとLGNあるいはGoLocoモチーフとの複合体のX線結晶構造解析を行い、GoLocoモチーフによるGiαの認識およびGDI活性の分子メカニズムを明らかにすること、およびLGNの構造解析を行ってLGNの構造と機能の関係について考察することを目的とした。 ヒト由来のLGN全長蛋白質とGoloco断片の大腸菌による発現、蛋白質精製法を確立した。LGN全長蛋白質の系にいては、ポリエチレングリコール4000,pH7.0の溶液中において微結晶を得ており、現在、X線回折能の向上を図るため、種々の添加剤を用いて結晶化条件の詳細な検索を行っている。また、位相決定のためセレノメチオニン置換体の作成を行った。GiαとLGN全長およびGoLocoモチーフ断片の複合体の結晶化を広範な溶液条件下で行っている。
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