本研究はアフリカツメガエルSld5/Psf1/Psf2/Psf3複合体(GINS)の細胞周期進行に関わる働きの解析を目的としている。 第一に、Sld5、Psf1、Psf2、およびPsf3はアフリカツメガエル卵無細胞系において複合体GINSを形成し、DNA複製開始に必須であることを明らかにした。この複合体は、染色体上でpreRC(pre-Replicative Complex :複製前複合体)が形成された後に、Cdc45とともに働き、DNAポリメラーゼの複製開始点への誘導に必要とされる。また、電子顕微鏡観察によってこの複合体がリング状構造を有していることを見出した(Genes Dev.2003 in press)。 第二に、抗Sld5抗体が、アフリカツメガエル培養細胞A6細胞において特異的な染色像を示すことを見出した。分裂期初期に、中心体の周囲に集合を開始し、中期には紡錘体の末端、後期には分離していく姉妹染色体の間、終期にはmid-bodyを明るく染色する。ところが、抗Psf1抗体ではそのような染色は見いだせず、かわりに間期・分裂期何れにおいても中心体を染色することが見られた。高解像度で観察すると、抗Psf1抗体による染色は抗チューブリンγ抗体による染色とよく一致したが、抗Sld5抗体による染色は一致しなかった。この結果からは、GINS複合体が細胞周期の時期によって解離していることを示唆するが、アフリカツメガエル卵抽出液においてはS期においても、M期においても、すべてのPsf1はSld5と複合体を形成していた。さらに解析を進めるために、ヒトGINS複合体のクローニングを進行中である。
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