研究概要 |
出芽酵母遺伝子APG17遺伝子は自食作用の誘導に必須である.Two-hybrid assayの結果,Apg17タンパクはプロテインキナーゼApg1と結合することが示唆された.その機能を調べるために,Apg1との共免疫沈降実験を行った.その結果,Apg17タンパクは,自食作用を誘導するラパマイシン添加時に限り,Apg1と結合することが示され,Apg1-Apg17複合体形成が,細胞の栄養状態を感知し,自食作用を誘導するシグナル因子として機能していることが示唆された.また,Apg1結合タンパク質として,他にApg13があるが,APG13遺伝子欠損株ではApg1-Apg17結合が見られなかったことから,この3種類のタンパクがお互いに密に関連し合っていることが判明した.これからは,Apg13-Apg17結合の様式も観察する予定である. さらに,このApg1-Apg17結合が,自食作用の誘導に必須であるか確認するために,先に述べたTwo-hybrid assay法を用いて,Apg1結合能を欠損したApg17変異体の作製を,mutagenic PCR法を用いて行った.その結果,そのような変異体が得られ,その変異体株では自食作用の誘導能を失っていたことから,飢餓応答に伴って形成されるApg1-Apg17複合体は,自食作用の誘導に必須の働きをしていると考えられた.現在,Apg1結合能の欠損を共免疫沈降実験により確認している段階である.
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