研究課題
脊索はその名の由来が示すように脊索動物を特徴付ける最も重要な形質である。尾索類ホヤでは原腸胚期から尾芽胚期にかけて、オタマジャクシ型幼生の尾部中央に正確に40個の脊索細胞がconvergent extensionにより一列に並ぶ。この原始的な脊索動物であるホヤの脊索形成過程の分子機構を解析することは、脊索動物の起源と進化を明らかにする道にもつながると考えている。これまでに、カタユウレイボヤ脊索特異的遺伝子約40を転写因子Brachyury下流遺伝子の中から単離してきた。今年度は、これら遺伝子の脊索における機能を明らかにするために脊索特異的に発現するGFP発現ベクターとともに、脊索で特異的に発現する約20種類の遺伝子のMorpholinoアンチセンスオリゴをカタユウレイボヤ受精卵に顕微注入し尾芽胚期での影響を調べた。その結果、尾芽胚期での脊索形成異常の表現型は以下の3つのグループに分類された。1.脊索の伸長がみられない。脊索細胞の集合は見られるがconvergent extensionによる脊索の伸長がみられない。2.脊索の部分的な伸長がみられる。脊索細胞のconvergent extensionに伴う脊索の伸長がみられるが脊索の形態に異常がみられる。3.尾部の伸長は正常にみられる。脊索細胞の並びに部分的な異常がみられる。これら3つのグループに分類される各遺伝子のMorpholinoアンチセンスオリゴの解析を進めている。脊索形成過程の各ステップで働く遺伝子の機能を明らかにすることで、脊索形成の分子機構の解明が可能になると考えられる。
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