線条体出血モデルは、ラット線条体内にコラゲナーゼを微量投与し作成した。報告されている運動機能評価法に加えメタンフェタミン誘発回転運動を調べたところ、運動機能評価スコアーと最大誘発回転運動数との間に相関関係が認められた。すなわち、3回/分以上回転する動物は脳出血モデルであると言って良いことが分かった。 黒質における免疫組織学的変化をTH抗体や0X-41抗体を用いて調べ、線条体出血後の黒質における二次的変化を検討した。出血後3日後に黒質に出現が認められたOX-41陽性細胞にBDNFが発現することが示され、OX-41陽性細胞の出現がドパミン神経の二次的変性に対し保護的に働く可能性が示された。 一方、胎生14日令のラットの線条体由来神経幹(前駆)細胞をbFGF(20ng/ml)存在下の無血清培地で培養し、神経幹(前駆)細胞を含む細胞塊(neurosphere)を調整した。このneurosphereを分化させるとneuron、astrocyte、oligodendrocyteが産生された。細胞内高分子アミノ酸に結合するCSFE-AM体を用いneurosphereをラベルした後、出血3日、1週、3週後の線条体出血モデルラットの線条体に移植した。生存納胞の数や移植ドナー細胞の表現系を免疫染色法および蛍光法を用いて調べた。 移植線条体部において、CSFEラベルされたドナー細胞がOX-41陽性細胞に貪食されている所見が観察された。また、移植ドナー細胞の生着はあまりよくないことが明らかになった。しかし、出血3日後に移植された群において移植細胞がもっとも生着していることが明らかになった。
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