研究概要 |
コラゲナーゼ微量投与(1.4μl,200U/ml)による線条体出血モデル動物において、出血側黒質網様部におけるTH陽性細胞の樹状突起の退縮および0X-41陽性細胞の浸潤が出血後3日から認められる。これら変化が、(1)出血した血液成分の代謝産物、(2)線条体GABA陽性ニューロンの黒質網様体への入力の欠如、(3)TH陽性ニューロンの軸索末端の直接障害、による影響かどうかを検討した。serum,bilverdin,FeCl_2,quinolinic acid (QA),6-hydroxydopamine(60HDA)を線条体に投与し、黒質での免疫組織学的変化の時間経過をTH抗体や0X-41抗体を用いて観察した結果、(1)serumおよびbilverdin処置は黒質に影響を及ぼさなかった、(2)FeCl_3,QA,60HDA処置により0X-41陽性細胞の浸潤やTH陽性細胞の樹状突起の退縮などの強い変化が認められた、(3)FeCl_3,QA処置により投与3日後から黒質変化が観察されたが、60HDA投与ではやや遅れて観察された、(4)FeCl_2投与による0X-41陽性細胞の浸潤は8週後においても観察された、等が明らかになった。一方、E14ラット線条体由来のneurosphereをCSFE-AM体を用いラベルし出血後3日、1週、3週に出血部の線条体に移植したところ、生着していた細胞が極少数であったが出血3日後に移植した群において最も良く生着していることが明らかになった。これらを考えあわせると、線条体出血においては出血後に認められる血液成分代謝産物による長期間の炎症反応が移植細胞の生着に影響を及ぼしていることが考えられた。 また、出血範囲がより小さいにも関わらず運動機能障害が大きい内包部出血モデルの確立に成功した。今後は線条体出血および内包出血モデルを比較検討しながら解析を続けていく予定である。
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