(1)41野とその周辺領野との機能的結合の解析 41野(一次聴覚野)と、20野(二次聴覚野)、36野(二次聴覚野)、39野(二次体制感覚野)、18a野(二次視覚野)との間の機能的結合を、それぞれの領野を含むスライスにより解析した。多シナプス性の活動に解析の焦点をあて、(a)bicuculline存在下でのカルシウムイメージング、または(b)連発刺激を用いたフラビン蛍光イメージング法、という2種類の方法により神経活動を画像化した。どちらの方法でも得られた結果は同様で、(1)同じモダリティの領野間では、一次から二次への神経伝達の方が、逆方向よりも優勢である。(2)異なるモダリティの領野間では、神経伝達の方向性に優勢劣勢はない、という結論が得られた。 (2)41野から20野への機能的結合の特性の解析 41野の中心付近を電気刺激したとき、刺激位置から1.5mm以上離れた20野での反応を微弱ではあるがフラビン蛍光イメージング法により検出できた。この反応は、AMPA型グルタミン酸受容体のアンタゴニストCNQXの投与により消失した。また、41野と20野の境界の白質を切断しても、この反応の大きさは変化しなかった。さらに、刺激位置をII/III層、IV層、V層、VI層と変えたところ、V層刺激がもっとも大きな反応が見られた。以上より、この長距離を伝播する反応は、シナプスを介した神経伝達であり、白質を経由せずに、灰白質内だけで伝達し、主要な経路はV層にあることが明らかになった。
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