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2002 年度 実績報告書

神経活動により駆動するプロテアーゼ-接着分子系が引き起こすシナプス形態変化

研究課題

研究課題/領域番号 14780601
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

宮井 和政  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (60283933)

キーワードニューロプシン / L1 / プロテアーゼ / 接着分子 / シナプス / 海馬 / 神経可塑性 / 免疫電顕
研究概要

本研究は、神経活動の上昇によるニューロプシン依存的なプレシナプス接着分子L1の切断がシナプス形態変化を引き起こすかどうかを明らかにすることを目的とし、特に平成14年度は、海馬CA1領域のプレシナプスにおけるL1の局在とその刺激による変化、さらにニューロプシン遺伝子欠損マウスにおける局在の変化を免疫電顕法を用いて検討した。野生型マウスにおけるL1含有プレシナプスは海馬CA1領域のstratum radiatumの中間層に局在していた。この領域はCA3錐体細胞からのシェーファー側枝が投射する部位であり、ニューロプシン-L1系がシェーファー側枝の長期増強現象に関与するという今までのデータとよく一致していた。プレシナプス膜に局在していたL1陽性反応は、神経活動を誘発する薬物刺激により細胞質側へと移行することが観察され、ニューロプシンにより切断されたL1は細胞質内に取り込まれて除去される可能性が示唆された。興味深いことに、ニューロプシン遺伝子欠損マウスの海馬ではL1含有のプレシナプスは殆ど認められなかった。我々は以前にニューロプシン遺伝子欠損マウスの海馬CA1領域ではシナプスが減少していることを明らかにしており、今回、その減少しているシナプスがL1を含有しているシナプスであること、またそのL1含有シナプスの形成・ターンオーバーにニューロプシンが重要な役割を担うことが明らかになった。以上の結果を今までの知見と併せて考えると、今まで同じ性質を持つものと考えられていた海馬CA3→CA1シナプスが実は性質や役割の異なるサブファミリーから形成されていること、更にそのサブファミリーはプロテアーゼ-接着分子系を指標にして分類できるという興味深い可能性が示唆された。今後は海馬長期増強現象や学習行動などより生理的な可塑的変化時におけるL1含有シナプスの動態を検討する予定である。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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