本研究により導入されたコンピュータにより撮像プログラムの開発環境を整備し、計画で計上した経費により専門知識の提供を受けた。これにより、励起パルス印加時間を任意にコントロールできるプログラムを開発して、EPI撮像時に生じる騒音を低下させることに成功した。これを用いることで、観察対象領域の縦磁化を定常状態に保ったまま、1秒単位の任意のタイミングで励起パルスと傾斜磁場を独立して印加することが可能となり、撮像継続中に一時的な静穏時間を実現した。全脳計測に十分と考えられる20断面には達しなかったが、1秒で16断面の撮像ができ、全大脳を計測可能である。その結果については本年度日本において開催された第8回国際ヒト脳機能マッピング学会において報告しており、現在投稿準備中である。 撮像制御プログラムでは対処できない撮像音圧を低減させると同時に強磁場のもとで良好な聴覚刺激を呈示する手段として、セラミックスピーカーを内蔵した密閉型ヘッドフォンの導入を予定していたが、セラミックスピーカー自体が大きなため、遮音素材が被検者の外耳との間に位置することになり、聴覚刺激提示の効率が低下するとともに音質が変化するという問題が生じた。このため、新たに外耳道内に設置可能な非磁性体のインナーイヤースピーカーを開発し、その外部に遮音素材を設置して一層の遮音効果を達成すると同時に効率的な音刺激の提示を行うことが可能となった。現在その性能評価を行っているところである。
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