研究概要 |
1 顔全体あるいは顔の部分の動きに関する脳内活動 これまでに目や口の動きの視覚刺激を用いた研究で、ヒトの運動視中枢MT/V5野の中でも「顔の部分の動き」は一般的な動きとやや異なる情報処理をされている可能性を報告した(Miki et al.,2004)。現在この研究をさらに発展させ、「顔の部分の動き」が一般的な物体の動きと区別される特性はどこにあるのか、「目の動き」に見える刺激から「物体の動き」の覚刺激へ段階的に変化させた視覚刺激を用い、脳磁図による詳細な検討を行っている。 2 顔認知に関わる脳活動の半球間差 これまで、「倒立顔認知」に関して脳磁図及び脳波で実験を行い、その時間的情報処理過程には左右半球間差が存在することを報告している(Watanabe et al., Neuroscience,2003)。しかし、未だその左右半球間差に関しては不明な点が多い。全頭型306チャンネル脳磁計を用いることで左右半球の誘発磁場を同時に測定し、顔認知に関わる脳活動の左右半球間差についてより詳細に解析していく予定であるが、現在その前段階として脳波と反応時間による記録解析を行っている。脳波の実験は条件差や活動部位の傾向がつかみやすく脳磁図実験の前段階として必須と考えている。この結果を基にして脳磁図による詳細な解析へつなげていく予定である。 3 Williams症候群患児における顔認知特性の研究 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所との共同研究で、Williams症候群患児を対象とした研究を進めている。Williams症候群の患者は日常的に顔認知には問題がないが、その脳内での情報処理過程は健常者とは異なることがこれまでの実験から示唆されている。現在、被験者を集めて記録・解析を進行中である。患者を対象とするため実験日程に限界があり長期間を要しているが、被験者数をできるだけ多く集めて解析・検討する予定である。
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